ハンカチノキとダヴィッド神父

ハンカチノキは、ミズキ科(ヌマミズキ科(Nyssaceae)あるいはハンカチノキ科(Davidiaceae)とする見解もあります)の落葉高木で、一属一種、中国西南部に自生しています。日光分園のハンカチノキは1959年にドイツのハンブルグ大学植物園から種子を分譲されたものから育成されたもので、小石川本園のもの(こちらはアメリカから1958年に分譲されたもの)についで国内で2番目に古い木です。

ハンカチノキの属名「Davidia 」は、発見者(実際には現地の人には知られていた植物ですので西洋文明への紹介者と言った方が良いかもしれません)のフランス人牧師ダヴィッド(Jean Pierre Armand David)に因みます。ダヴィッド神父は、1862年から1874年まで中国で布教活動をしていました。その際に、3回に渡る奥地への大旅行を敢行し、様々な動植物を採取して欧州にもたらしました。ジャイアントパンダもその一つです。園内には、他にもダヴィッド神父に因んだ植物があります。今回は、ハンカチノキと共にご紹介いたします。

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[駐車場 2009年05月21日 撮影]
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[駐車場 2009年05月11日 撮影]
ハンカチノキ(別名:オオギリ、現地名:鳩子樹、英名:handkerchie tree、Dove Tree)
Davidia involucrata Baill.(ミズキ科)

ハンカチノキの解説は、こちらにもあります。

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[石標70番近く 2009年06月08日 撮影]
ロサ・ダヴィディ(中国名:西北薔薇、英名:Father David's rose)
Rosa davidii Crép.(バラ科)

和名はつけられていないようなので、学名に従って呼ぶことにします。原産地は四川省や雲南省など中国西部。開花直後は左のように濃いローズピンクですが、徐々に上の写真のように薄いピンク色になります。現地では、高度1500m-3000mの森林に生息します。成長すると最大で4m近くになるそうです。今年はまだ咲いていませんが、6月中旬頃に開花すると予想されます。

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[石標70番近く 2009年06月08日 撮影]
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[石標13番付近 2009年06月08日 撮影]
フサフジウツギ(房藤空木、別名:ニシキフジウツギ、チチブフジウツギ、中国名:大叶醉魚草)
Buddleja davidii Franch.(フジウツギ科)

近年河原などで繁殖している落葉低木です。中国原産の帰化植物と日本に自生していたとする説とがあります。小種名の「davidii 」は、発見者のダヴィッド神父に因んだものです。当園では7月中旬から8月中旬頃に開花します。

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[日光市 2009年07月13日 撮影]